医師と患者のズレ...ウイルス編 [病院]
いやぁ~、久しぶりにインフルエンザに罹ってしまいました。
月曜日夕方から熱が出始め、夜10時頃39.2度の高熱がでて、ER(救急)窓口に行って受診しました。
なが~い綿棒を鼻の奥まで入れて「インフルエンザ検査」しました。
結果、+だったのでタミフルが処方されてめでたしめでたし。
あ、全然めでたくなかった....
でも早めに病院に行ったので薬もよく効いて(タミフルは48時間以内が有効といわれています)割と回復は早かったです。(^^)
しばらく寝込んでいましたが、熱が下がってくるとPCに向かいたくなり
久しぶりに自分のブログを開けてみて、皆さんの温かい励ましのお言葉に癒されました。
本当に感謝しています。ありがとうございました。m(__)m
さてさて今回感染したのはインフルエンザウイルスだったので「抗インフルエンザウイルス薬」のタミフル(一般名:リン酸オセルタミビル)が処方されました。
おかげさまで”高熱で数日間ウンウン唸る”という苦行を強いられずに済みましたです。(^^)
今回のことがきっかけで、なんとなく以前読んだ「医師と患者のズレ」についての記事を思い出しました。
キーワードは『ウイルスと細菌』です。
(以下長文です)
ある医療系サイトの患者アンケートで「なぜ抗生物質をくれないのか」という患者の不満があったそうです。
内容的には、勝手に要約すると『39度の熱で受診したが、抗生物質が処方されず解熱剤と咳止めしか処方してもらえなかった。これなら町の薬店に行っても薬が買えた。』でした。
この患者さんは抗生物質が処方されなかったことが、不満だったわけです。
なぜ抗生物質が処方されなかったのでしょうか?
このサイトの医療者の解説では「おそらくこの医師はウイルス性の風邪またはインフルエンザを疑ったので、抗菌薬を処方しなかったと想像する。」とあります。
わかりやすく言うと、ウイルスには抗生物質などの抗菌薬は効果がないので、処方されなかったということです。
では抗生物質は何に効くのでしょうか?
それは細菌です。(医療スタッフがよく『バイ菌』と表現しているものです)
細菌とウイルスは同じものでしょうか?
違います。
何が違うかというと、その一つは大きさです。
ウイルスの大きさの単位はナノメートル、細菌の単位はマイクロメートルです。
(そのほか細胞を持っているか否かなど違いはありますが、話がややこしいのでここでは”違う”ということだけにとどめておきます。)
なので細菌には抗生物質、ウイルスには抗ウイルス薬というように処方される薬の種類も違ってきます。
ここで医師と患者に大きなズレが生じてしまうのです。
なぜか患者さんは風邪(症状)には根本的な解決として抗生物質をくれるものだと思い込んでいます。
それをしてくれない医師に対して不満を持ちます。
一方医師は(当然のことながら)医学的に正しいことをしているのに、「なぜ患者が不満を持つのか」がわかりません。
こういうちょっとした行き違い(?)が原因で医療不信や医師不信に陥り、スムーズに治療が受けられなかったり、主治医にわだかまりや不満を持ちつつもどうしていいのか判らなくて悩んでいる方を、たくさんたくさん見てきました。
傍でみているととても歯がゆく悲しいです。
今では解消していますが、かつてふじくろも医師との間に大きなズレがありました。
だからよくわかります。
この例のように風邪のような一過性の疾病ですと、それほど問題にはならないかもしれません。
でも、がんのように長い治療期間を要する疾病の場合は『医師と患者の意識のズレ』は時として悲惨です。
主治医との信頼関係がないと、一人で悩んでとても苦しい闘病になってしまいます。
多分医師側にすれば「信頼してないのなら(病院に)来なくていいよ。」で終わる話だと思います。
でも患者の場合は大げさに言うと「疑心暗鬼」の闇に陥ってしまうのです。
「自分の主治医はヤブなんじゃないの?」
「あそこの病院はダメかも....もっとよい病院に行ったほうがいいんじゃないのかしら。」
etc.........
ではどうすればこういった行き違いが防げるのでしょうか?
解決するのは簡単ではありませんが、ふじくろが個人的に体験を通して思ったことは、
「医師はなるべく患者に説明する」と
「患者は(不信感を抱くぐらいなら)自分で調べる。または医師に納得のいく説明を求める。」の
2つです。
大きな病院などはスタッフの方も多忙で、なかなか説明の時間が取れないことはわかっています。
外来の診察時間内での充分な説明など、不可能です。
ある外科医は「詳しく説明しても、最後に質問したいことを患者に尋ねると、今まで何を聞いていたの?みたいな質問が返ってくる」とおっしゃってました。
そういうシチュエーションが多いことも重々承知しています。
だから患者も基本的なことは自分で調べるくらいしたほうが、スムーズに話が進むと思うのです。
そのうえで医師の説明でわからなかったことを具体的に質問してみるほうがよいのではないかと....
「どうせ素人には(医学的なことは)わからないのだから、余分なことを考えず黙って従えばよい。」と思われている先生もいらっしゃいます。
”インフォームドコンセント”という言葉が浸透してきた昨今、さすがに公言される方は少ないと思いますが、心中は.....
しかしながら「お任せします」と言っていた患者も、何かあったときに(患者側が)「そんな説明は受けていなかった。」といってトラブルになるのもしばしばです。
抱えなくてもよい不安や無用なトラブルを避けるためにも、医師と患者のズレは小さければ小さいほど良いと思います。
それが結局は自分の為になるのだから.....
*タイトルに「ウイルス編」とあるように、そのうち別の編も書こうと思います。
いろいろとタイヘンだったでしょうけど、回復されたのですね(^▽^) 復活!おめでとうございます(∂-∂)//""パチパチ 患者と医師、それぞれ違ったパラダイムを持った両者だから、お互いの意思を同じにするのは難しいことだと思います。過去のふじくろさんの日記(眼科だったかなぁ(^_^?))を読んでそう思いました。医師は患者を苦しめてやろうと思っていないと思いますが、患者の意思を汲み取ることのできない医師が実際にはあまりにも多いですね。 当然のことですが、人間相手の仕事ですから、医療技術の高さは勿論ですが、プレゼンテーションやカウンセリングの能力も必要だと思います。バランス感覚が大切ではないかと思います。 ふじくろさんは向学心があるので、医療について詳しく調べることができます。知識も豊富だし、何より好奇心が人よりも旺盛だからできるのかなぁと思います。でも、一般の人が医学書を読むことは、かなりの困難を伴うのが現実だと思います。特に高齢者に医学書なんて。。。と思います。自分が受ける治療に無関心な人はいないと思います。『お任せします』と口では言うのは、医師を信頼しているというよりも、医学のことが理解できないから?かもしれませんね。
by kasama (2007-02-16 17:21)
快癒おめでとう御座います。
これ程の長文をこなせるほどに回復された事。
思うに日頃の食欲の御陰?体力そのものでしょう。^^;
医師との関係~
は、所詮人と人。
口下手の寡黙な医師でも症状や苦しみを理解してくれる器量の様なものが、自ずと通じるよう思います。
ただ、大半の患者は選択の余地も無く委ねているようです。
私は半端じゃなく入院、医者嫌いですから余計事態の差し迫った折の対処に参考に為ると思いながら読み進めました。 ^^;
by keykun (2007-02-16 18:48)
>>kasamaさん
ありがとうございます!
数年前のことですが、癌患者アンケートで「治療に関する十分な説明を受けたか?」は”いいえ”が7割でした。(手術の説明は除く)
癌の場合、充分な説明を受けられないためにいろいろ悩む方の割合がとても高いのです。
>プレゼンテーションやカウンセリングの能力も必要だと思います。
そうですね、その通りだと思います。
しかしながら医療スタッフの数が圧倒的に不足している現在では、たとえそれらの能力があったとしても発揮する時間がありません。
特に大学病院外科外来での診療は短くて2分、長くて10分程度です。
体の調子を医師に伝え、検査の結果を説明されて、次の予約をいつにするのか決めるだけでイッパイイッパイです。
治療に関する詳しい情報など話している暇がありません。(T_T)
ふじくろは医学書も持っていませんし(だいいち高くて買えないよ~)医療関係者でもありません。
知識の殆どはNET、主治医の話、癌関連の書店で売られている刊行物から得ました。
多くの他の患者さんとほぼ同じです。
ただパソコン初心者ではないので、論理演算子を用いるなどして膨大な医学情報から自分の求める情報に近いものを比較的楽に引っ張ってこれることくらいです。
その程度で充分必要な情報は得られるとおもいます。
医学書を読む必要はないと思います。
国立がんセンター「がん情報サービス」(http://ganjoho.ncc.go.jp/index.html)をはじめとする一般向けの情報サイトがたくさんありますし、
NET環境がなければ市民講座や患者会で情報を得ることも出来ます。
全ての患者は勉強すべし....などとは全く思っておりませんです。
ただ、自分の場合は情報を蓄えることでここまで乗り切れた、と思っています。
自身の病気について「情報を得るもよし、無関心もよし」だと思います。
最終的に責任を負うのは患者自身の肉体なのですから.....
>>keykunさん
ありがとうございます!
長文にもかかわらず読んでいただけて嬉しいです。
>日頃の食欲の御陰?
その通りです。食いしん坊なのがよかったです。(^-^)
>私は半端じゃなく入院、医者嫌いですから
右に同じくです。
ふじくろも大嫌いです。(^ー^;
あ、でも現在の内科、外科、泌尿器科、皮膚科の主治医の先生たちは愛すべき人たちです。
by ふじくろ (2007-02-17 15:56)
> 最終的に責任を負うのは患者自身の肉体なのですから.....
なるほど、Your Own Riskという訳ですね。
ふじくろさんの日記を見ていて、うん!(^^)確かに!と思います。病状や治療については、必ずしも医師から納得できる説明を受けられない現実を考えると、より詳しく知りたければ自分で。。。ということになりそうですね。
by kasama (2007-02-18 00:03)
>>kasamaさん
再度のコメントありがとうございます! (*^ー^*)
>Your Own Risk....
はい、そうだと思います。
でも「怪しげなソフトをインストールしてウイルスに感染した」などとは違って、病気の場合は自分自身の体にはね返ってくるものという点が大きく異なると思います。
合併症がどうであれ、副作用がどうであれ、病気の進行がどうであれ、「○○が△△してくれないからこうなった。」などと泣き言を言っても、結局苦しむのは自分の心身ですから....
>知りたければ自分で
知りたくなければそのままでよいと思います。
知りたければ、周りの方の助けを借りたりしながら自分のできる範囲で....だと思います。
by ふじくろ (2007-02-18 09:33)
インフルエンザ大変でしたね。
回復されたようでよかったです。
今は患者側も情報をたくさんもっていますからねぇ。
お医者さんと対等に話ができちゃうところもすごいですよね。
昔は医者の言うこと=絶対!みたいなところありましたもんねぇ。
by ぽんこ (2007-02-20 10:22)
>>ぽんこさん
ありがとうございます。(^-^)
>昔は医者の言うこと=絶対!みたいなところありましたもんねぇ
そうですね。ここ数年でかなり変わってきたと思います。
ネット上の有料・無料の癌相談でも、自分の病状について充分理解していないと受け付けない先生もチラホラいらっしゃいますよ。
by ふじくろ (2007-02-20 21:57)