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ハーセプチンがより多くの方に [がん関連]

ふじくろが数年前、乳がんの手術で入院していたのは近所の大学病院の6人部屋でした。

その部屋の殆どは乳がんの患者さんでした。

ある日、ふじくろのベッドのお向かいさんが、新聞の切り抜き記事を持ってこられてました。

「(乳がんの)新しい薬ができたのよ!」と、他の患者さんたちに声をかけると、皆さんがベッドからさっと身を起こして、その方のところに集まりました。
(こういうときの身のこなしは、入院患者とはいえ、素早いです。)



それは「ハーセプチン」という名前の薬の記事でした。

これまでの抗がん剤やホルモン療法よりも、効果がある「分子標的薬」とされて、マスコミでも取り上げられたのでした。

ふじくろには、皆さんのお顔がほんのりと希望色に染まっていたように見えました。



ただ...
当時は乳がんを再発した人にしか使えない薬なのでした。

正確に言うと、「使えない」ではなくて、「保険が適用されない」ので実質的に使えなかったのですが....

(以下は乳がんの治療についての一般的なことを、一患者の立場から述べています。例外もありますことをご了承ください。)



2008年4月13日付の朝日新聞の記事に、乳がん患者にとって明るいニュースが掲載されました。

ハーセプチンを、今までは再発した人しか使えなかったのですが、再発していない乳がん患者も使える事になりました。

ちょっと進歩したのかな?


乳がんの手術をしたときに、HER2(ハーツー)が陽性か陰性かを調べます。

陰性だった人は、ハーセプチンの効果はあまりないということで、この薬は使われません。

陽性だった人は、ハーセプチンの効果が見込めるということで、この薬が使えます。

HER2陽性の人は、乳がん患者の2~3割程度なのだそうです。

HER2陽性なら誰にでも聞くわけではなく、陽性の人の約半分は効果がないそうです。
(個々の人に効くかどうかは誰にもわからず(もちろん医師にも)、やってみなくては結果はわかりません。)


注)
「ハーセプチン」は中外製薬の商品名です。
一般名は「トラスツズマブ」といいます。
舌をかんでしまいそうですね。(^ー^;


この薬についての簡単な説明をごらんになりたい方へ

「乳がんの基礎知識」
http://www.sutaa.net/nyugan/2006/06/02-172729.php

「よくわかる乳がん」
http://www.bms.co.jp/nyugan/info/06_04_06.html




ハーセプチンの効果について
正確に書こうとすると難解な文になってしまうので、ざっくり書いてみました。

例えば、ハーセプチンを使わなかった人の4年生存率が86%だとして、使った人の4年生存率は92%程度だそうです。


つまり、
乳がん患者200人がいたとして、
100人の人はハーセプチンを使わない別の治療をして、4年後には14人
が亡くなっていた。

残りの100人はハーセプチンと他の治療をして、4年後には8人が亡くなっていた。

ということです。

その差は6ポイント程度ですね。



もっと詳しく知りたい方へ;
"ハーセプチン 治療効果"
"ハーセプチン 生存期間"
などで検索するとたくさんでてくると思います。


がんの治療の世界ではこの6ポイント程度の差はかなり大きな差と捉えられるようです。




これまでは、再発した乳がん患者しか使えなかったこのハーセプチンという薬が、再発していない人でも予防として使えるようになったのは今年の2月からです。



厚生労働省がようやくそれを認めてくれました。(^^)

ちなみに申請から承認までの期間は、朝日新聞によりますと
欧米 3ヶ月
米国 9ヶ月
日本 1年3ヶ月
だそうです。

これをみると「ニッポン、 チャチャチャ!」と言いたくなるのはふじくろだけでしょうか...( ̄∀ ̄*)!!







このお薬については、いい事尽くめ....というわけではなく、あまりよくないニュースも.....

ここからはちょっと暗めのお話になります。



新聞によりますと、
再発予防で1年間投与した場合、薬代だけで約300万円だそうです。

高額医療費制度を使えば、自己負担で60万円くらいになるそうです。(平均的所得層の場合)

すごい割引率!?
....に見えますが、1年で60万円なら、1ヶ月で5万円ですよね。

んーーー、どうなんでしょう。

月5万円ですか.....
ちょっと厳しくないですか?



ふじくろはHER2陰性で、今のところこのお薬のお世話になることはありませんが....

もし、HER2陽性で主治医から治療を薦められたら....
正直言って、迷ってしまいます。

ここのところの考え方は人それぞれですね。


年齢や立場やポリシーや人生観などなど...
いろいろありますから....





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コメント 6

keykun

こんばんは。^^
知人のC型肝炎のインターフェロン治療などでも
似たような話を耳にします。
薬剤、治療法。
其処へたどり着くまでの篩分けの様なもの
何にでも付いて回る、運不運さえ感じます。^^;
高度医療の補助制度は、もう少し負担の軽減策を講じて貰いたいですね。


by keykun (2008-04-16 18:09) 

ふじくろ

>>keykunさん
「インターフェロン」が気になってちょっと検索してみました。
厚生労働省のページで「厚生労働省と都道府県では、平成20年度からB型及びC型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成を行うこととしました。」の記事をみつけました。
1~5万円の助成金が出るのですねー。感染症だから多くの人に治療を受けさせれば、結果的に国の医療費の負担が減る....と考えたのかな...(^^)


>>kasamaさん
そうですね、同じがんでもそれほど治療費のかからない方や高額になってしまう方まで、差が激しいです。
ちなみに「退職金を全てがん治療に使い果たした」という話を耳にしたことがあります。
高額医療費制度を今よりもっと充実させれば、税金が高くなってしまうかもしれませんね。
あちらたてればこちらたたずで、難しい問題だと思います....
by ふじくろ (2008-04-17 19:44) 

pekorin23

こんにちは                
一月5万の治療費。生存率の違いが6%
厳しいですね。。。。
でもその薬を選べるようになったというのはいいことですね。

by pekorin23 (2008-04-18 16:31) 

rira

すべての人が納得できる良い治療を受けられたらいいのに・・・
国を動かす人たちには伝わらないのでしょうか
物価が上がるのはしょうがないなんて方がいましたよね
消費税導入時にも2万円のネクタイ買って消費税払う
パホーマンスした大臣もいましたね・・・・
by rira (2008-04-19 20:48) 

ふじくろ

>>pekorin23さん
そうなんですよ~、すごく厳しい選択になっちゃうんですよね。
考え方も各個人でいろいろありましょうし....
でも、仰るとおりだと思います。
選びたくても選べなかった今までに比べれば、「選ぼうと思えば不可能ではなくなった」今のほうが、ずっと良いと思います。(*^ー^*)



>>riraさん
本当ですね!
難しいけど、納得いく治療に少しでも近づけたいですね。

>国を動かす人たちには伝わらないのでしょうか
わぁ~、riraさんの発言、頼もしい!
\(^〇^)/
ふじくろも思うんですよ...時々...本当に必要なものだけに国のお金が使われてるのかな?...なんて。
by ふじくろ (2008-04-19 22:22) 

邦子

手術後1年が経ち今は首に転移 薬治療の毎日です
時々厭になりますが
お店を開いて5か月そのおかげで頑張っています




















しゅじゅ
by 邦子 (2008-10-17 13:43) 

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